« キノコ | トップページ | フユヒ再び »

2007年1月12日 (金)

カエルツボカビ症国内初確認

日本の両生類に危機 カエルツボカビ症が国内で初確認
WWF 2007年1月12日

海外でカエルなどの激減・絶滅を引き起こしていると考えられている「カエルツボカビ症」が、日本でも確認されました。現在のところ、野外での発症は確認されていませんが、今後、野生の両生類にこの病気が広がった場合、日本の自然環境や農林業は、深刻な影響を受ける可能性があります。

両生類最大の脅威が日本に

麻布大学獣医学部では、2006年12月25日、東京都内で飼育されていたカエルの死体から、日本国内では初めてのカエルツボカビ症の発症を確認しました。
これは、個人がペットとして飼育していたカエルの死体が、獣医師を通じて麻布大学獣医学部病理学研究室に持ち込まれ、診断の結果、明らかにされたものです。
カエルツボカビ症は、その原因となる菌(Batrachochytrium dendrobatidis)が、カエルやサンショウウオなどの皮膚に感染することで発症する、両生類の新しい感染症で、その死亡率は90%以上とも言われています。
この病気は、その存在が知られることになった1998年前後から、中米やオーストラリなど、世界各地で両生類の減少、絶滅を引き起こしてきたと考えられています。
現在、IUCN(国際自然保護連合)の「レッドリスト」に、特に絶滅のおそれが高い種として、その名が掲載されている両生類は、1,856種。世界で知られている5,743種の両生類のおよそ3割以上にのぼります。しかも、1980年以降、120種が既に絶滅しており、この背景にも、カエルツボカビ症が大きな影響を及ぼしていると見られています。
中米のパナマでは、ツボカビが侵入してから、わずか2カ月で地域のカエル個体群が全滅したといわれ、アメリカからも、北米の固有種アメリカサンショウウオへの感染例や、アリゾナ州のタラフマラカエルがツボカビによって死に絶えた例などが報告されています。
 
おそるべき感染力

世界中でこのツボカビ症が猛威を奮っている理由としては、その強い感染力と、高い死亡率が挙げられます。両生類の皮膚に感染したツボカビは、そこで増え、鞭毛の付いた遊走子を水中に放出します。それが水を介して、他の両生類に感染しますが、この遊走子は最大で7週間も水中で生き続けることができるため、感染が急激に広がる危険性を秘めています。
また、感染した両生類(カエルやサンショウウオなど)の致死率は90%ともいわれており、両生類にとっては恐るべき脅威になっています。
ツボカビが感染するのは、両生類と一部の淡水性のエビだけで、人や魚に感染することはありませんが、水とともに手や靴に付着した菌を、人が別の場所に運んでしまう可能性はあります。病気の個体を飼育していた水槽を水で洗い、それを捨てるだけでも、感染を広げる可能性があります。
日本で初めて発症が確認されたカエルも、購入されてきた海外のカエルが原因であったと見られています。
すでに、大きな被害が出ているオーストラリアでは、両生類の輸出入検疫を強化するなど、国をあげて対策に取り組んでいますが、日本でも、国のレベルで、このような措置を取る一方、現在カエルなどを飼育している個人が、飼っている個体や、死体などを、絶対に野外に捨てないようにすることが急務といえるでしょう。
 
日本の自然、農林業への影響は?

2006年末に、国内で初めて確認された発症例は、幸い、屋内で飼育されていたカエルが発症したものですが、これが今後、野外で、野生の両生類に広がった場合、日本の自然は深刻な打撃を受けることが予想されます。
特に、全国の水辺に多く生息するカエルは、鳥やヘビ、哺乳類などの重要な食物となる、生態系の基礎の部分を担う生きものです。天然記念物のイリオモテヤマネコも、カエルを重要な食物にしています。カエルの激減や絶滅は、これらのカエルに頼って生きる多くの野生生物の減少や絶滅を呼ぶことになりかねません。
日本で確認されているおよそ64種(亜種含む)の両生類うち、国内で絶滅が心配されている、イシカワガエルやオオサンショウウオなど19種についても、当然、その危機は高まることになります。
また、昆虫などを主な食べ物にしているカエルが、水田などの環境から姿を消した場合、農林業に被害を及ぼす害虫などが、大量に発生する可能性も指摘されています。カエルツボカビ症は、日本の生態系を根幹から揺るがす、未曾有の大問題なのです。
 
被害を最小限に抑えるための緊急対策を!

2007年1月12日、両生類の保護・研究、および日本の自然保護に関わる、16の研究機関、環境団体などは、国内でのツボカビ症の発症の確認を受け、緊急事態宣言を発表しました。
これは今後、ツボカビ症の感染拡大の原因になり得るペット業者や個人の両生類飼育家、マスコミ関係、関係行政機関の方々に対し、問題の大きさと、早急な対応を求めたものです。
カエルツボカビ症は、一度、野外に広がったが最後、それを収拾する手立てはありません。この問題が、深刻な事態を全国で引き起こすことになるかどうかは、現時点で拡散の予防が徹底できるかどうかにかかっています。

WWF カエルツボカビ症について
http://www.wwf.or.jp/activity/wildlife/news/2007/20070112.htm

« キノコ | トップページ | フユヒ再び »

メモ:世情」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

ヤスデの飼育

無料ブログはココログ